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レディネス

 日本大百科全書によるとレディネスは学習が効果的に行われるためには、学習者の側に、身体的にも精神的にも学習にふさわしい素地が用意されていなければなりません。

 このような知識・知能・技能・体力・興味などの学習に必要な準備状態を総称してレディネスと呼びます。レディネスが、学習者の側にできていないとその学習は無効に終わるか、少なくとも、非効率にならざるをえません。

 レディネスは成熟と経験によって形成されますが、とりわけ成熟の要因が大きく作用するので、学習におけるレディネスを重視するとき、とかく成熟まちの学習指導にかたよりやすいといえます。

 確かにレディネスは学習の前提条件でありますが、同時に学習によって形成される場合も少なくありません。そのうえレディネスさえ成立すれば、その後はどんな年齢でも効率的に学習が行われるわけではなく、子どもの発達過程には、それぞれ学習にふさわしい時期が存在するわけで、学習のこの最適機を逃すと、学習効率が低下し、時には徒労に終わってしまうことさえあります。

 そこで、レディネスの概念の中にその学習可能性と学習適時性という視点を取り入れる必要性が強調されるようになってきました。

 なお、EL・ソーンダイクは、レディネスを刺激と反応とを結合させる準備の整った神経伝達単位の状態と見なし、準備の整った状態のときに学習すれば、快を感じるが、この状態にあるのに学習しないなら、準備のない状態なのに強いて学習させられるなら不快を感じることになると述べています。


学校教育を支える子どものレディネス


 学校における子どもの問題は大きく分けて次の三つが考えられます。

 一つ目は、子ども自身の問題から起こるレディネス不足です。軽度発達障がい児の特有な特性から起こるものとして、こだわり・転導性・体のバランスの悪さ・感覚統合の悪さなどがあります。視覚性の問題により、言葉の遅れ、人間関係の弱さ、社会性の弱さなどが起こり、算数・国語などの教科学習につまずくことになります。

 二つ目は、子ども自身を取り巻く環境の問題から起こるレディネス不足です。これは子ども自身の問題というよりは、子どもをとりまく外部の世界と子ども自身との関わり合い方の問題といえます。
 1.子どもと教師との関連性の問題
 2.子ども対子どもの関連性の問題
 3.子どもと集団との関連性の問題

 軽度発達障がい児は、子ども自身の問題があることに加えて外部の世界ともうまく関わりを持たなければならないという二重の問題を抱えていることになります。

 三つ目は、情緒面でのレディネス不足です。学校教育を支える子どものレディネスを考える場合に、家庭から離れ学校での集団生活に耐えうるだけの情緒的成熟をへているというレディネスも考慮に入れなければなりません。

 学校教育を支える子どものレディネスを考える場合、学習レディネスだけでなくこれらの関連性の問題や情緒面でのレディネスをも加えて考えることが必要です。保護者は学習レディネスだけに目がいきがちですが、関連性や情緒面の方にも目をいきとどかせることがバランスの良い発達を成し遂げるためには特に大切なことです。

 3歳から6歳ごろの健常児は、教育的な環境にあれば、自然に学習スキルや社会スキルのレディネスを獲得することができます。それによって学校での算数・国語などの教科学習につまずくことはありません。

 しかし、軽度発達障がい児は、レディネス不足によって学習スキルや社会スキルが獲得されにくくなっています。そのために、学校における算数・国語などの教科学習を進めるための能力が身についていないために学習につまずくことになります。

 したがって学習につまずかせないためには、レディネスの不足している部分を獲得させてやらなければなりません。そのための方法としてNPO法人遊育・遊びを育てる会では、ダイナミック遊び・群れ遊びという手法を取り入れています。それによって、学校で必要な子どものレディネスの獲得が促進され、就学した後も、学習につまずくことがなく、スムーズな学校生活がおくれるようになります。


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